最後のお風呂

2013/01/07 Mon 17:17

一昨年の8月に新薬メマリーを服用して以来、夫は穏やかさを取り戻し、笑顔も多く見られるようになった。
介護する側としては、眉間の皺と付き合うより笑顔の方がよっぽどいいに決まっている。
おかげで私の気持ちの負担はだいぶ軽くなった。
けれど、いい事ばかりではない。
夫の排泄感覚は鈍くなり、ほぼ100%安心パンツのお世話になっている。
困るのはお通じ。
下剤をかけないと3日も4日も滞ってしまう。
これに関してはありとあらゆる良いと言われたことを試しているがうまく行かない。
今は2日滞ったら、2日目に下剤を飲むようにしている。

お正月2日の夜夫に翌日3日の日にお通じがあればと、下剤を飲んでもらった。
4日からショートステイなので、身軽?になって、お風呂にも入って、送り出したかった。

3日午前中、残念ながら音沙汰なし。
お昼過ぎ、台所で後片付けをして戻ると

   !!!

片付けながらも夫の様子を気にしていたし、娘も隣に居たのに・・・
いつの間に?
座ったまま?

という訳で大急ぎで娘にお風呂の準備を頼み、私は夫をお風呂に入れるようにきれいにする。
夫の汚れは手強く、洗い流した方が早いかなとお風呂場へ移動。
衣服を脱いだ夫はお風呂に入ることを理解したのだろう、風呂場へ入るとすぐに湯船に浸かろうと片足をあげかけた。
『ちょっと待って!!洗ってから。』
引き止めると、夫はそのままお風呂場の床に座り込んでしまった!!
シャワーのお湯を流しっぱなしにして床を暖めていたのが災いした。

床に座り込んだ夫を立たせるのは至難の業。
まして、本人に立つ気がなければ私の力では不可能。

とりあえず、寒くないように肩からお湯をかけ、ついでに頭、肩、背中、
上半身を洗ったけれど、お尻は立ち上がってもらわなければきれいにならない。

『パパ、立って。お風呂に浸かろう。』
『パパ、このままじゃ風邪引いちゃうよ。』

夫は『うん』と素直に答えるけれど動く気配なし。

立ち上がらせようと手を引くと、もっと強い力で引き返される。
これは、息子の出番だ。
もやはこれまで、と息子を呼ぶことにした。

しかぁ~し、夫が風呂場のドアの前に座り込んでいるので、ドアは10cm程しか開かない。
10cmの隙間から覗いた息子は、

『お~!!これは悲惨だ!!
  しかし、俺のパワーを発揮する場所はなさそうだな。』

『・・・たしかに・・・』

私は寒くないように夫にお湯をかけ続ける。
風邪でも引かせてショートステイをキャンセルなんてことになったら明日両親の所へ行けない。
ちょっと位寒い思いをさせて居心地悪くしたら立ち上がるのかもしれないけれど。

あの手この手、介護生活9年で培った技を駆使して夫を立ち上がらせ・・・ることはかなわず、
なんとか夫のお尻の位置を少しをずらしてドアの開く幅を広めて息子を洗い場に入れることができた。

座り込む夫に、でっかい息子と私。
力尽くで夫を立ち上がらせる。
狭い風呂場は大混乱。

なんとか夫をきれいにして湯船に入れた時はすでに1時間経過。
やれやれと思うも試練はまだまだ続く。

すっかり気持ちよくなった夫は湯船の中でこっくり、こっくり・・・

  デジャブー

忘れもしない一昨年のお正月。
  



読み返してみると、
夫をお風呂から出せないのはおんなじだけれど・・・・
夫はもう鼻歌も歌わないし、私の手を振り払いもしない、
お湯を抜いてしまっても、寒いとも言わない。
自分でも立とうとしているのに、立ち上がれない・・・。

結局、お湯を抜いて息子が湯船の中に入り、後ろから脇を持ち、私が両手を引いて立ち上がらせた。
丸々2時間の入浴タイム、私も息子も大汗をかいていた。

『どうして、お風呂に入れようと思ったの?』と、息子。
  無謀だったんじゃない?とその目が言っている。

『だって、汚れちゃったし、暮れからお風呂入ってないし、明日からショートだし・・・』

『デイサービスって、有難いね。』息子の感想。

そう、夫をお風呂に入れるのはもう無理かな、今日が最後かもしれない。

否応なく、夫は衰えていく。

今年こそ、

     特養の申込書、書こう。


      ・ 
      ・
      ・

『まだ書いてなかったのぉ~!?!?』って声が

     いっぱい聞こえた。(^^;)



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コメント
初めまして
初めまして。
サプリと申します。

認知症ですか・・・。
僕のおじいちゃんも認知症で・・・。
本当に大変ですね。 早く認知症を完治できる時代が来てほしいです。

少しお伺いしたいのですが、
旦那様は昔、甘いもの好きでしたでしょうか?(飴も含む)
後は、血圧を下げる薬とか。
実はアルツハイマーの原因の一つに
血糖調節障害(反応性低血糖症など)というものがあるのです。
普通の健康診断などではかなり見つかりにくいです。

僕はヘルパーの資格を持っていて
認知症の方のお世話をさせてもらったことがあるのですが、
認知症の方はかなりの甘い物好きでしたので。僕のおじいちゃんも。

認知症と何か関連が・・・?
No title
サプリさん、こんにちは。

夫は好き嫌いはほとんどなくて、好きなものは?の問いに「美味しいもの」と答えていました。
甘いものも好きでしたが、特に【甘いもの好き】というわけではなかったように思います。
夫が辞められなかったのは煙草でした。
認知症との関連、気になりますね。
早く病気が解明されるといいなと思います。

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