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若年期の認知症

2010/08/27 Fri 09:33

朝10時、約束の時間通りにショートステイのお迎えが来た。

初回に限っては家族の同行が必要ということだったので、これは私も望むところ、一緒に施設まで送って行った。

いつもと違う車は、いつもと違う場所に停められ、もちろんいつもと違う職員さんが現れた。
夫は私と一緒のせいもあってか、何の躊躇もなくワゴン車に乗り込んだ。
(もちろんスムーズには乗れず、手助けは受けて。)
ショートステイ大嫌いの夫だけれど、もう、怪しい雰囲気を嗅ぎ取る力も薄れてしまったのかもしれない。


今度の施設も郊外の緑の中にあった。
まずは夫のユニットへ案内された。
ユニット個室のドアはどれも廊下ではなくリビングフロアーに面していてドアを開けるとすぐにみんなが居る場所、というのが気に入った。

夫の部屋に入るとすぐに、介護の担当者、そのアシスタント、そして看護婦さんが書類を持って来て、細かい質問が始まった。
内容はほとんど2週間前に自宅を訪れた職員さんにお話したこと。
書類の欄外には私が前に話したことが、赤字でぎっしり書き込まれていた。
新たな質問と言うより、確認という形かもしれない。

担当の介護職員さんは、夫を見てすぐにこう言った。

「お若い・・ですね・・。」

「そう、まだ61歳ですから・・。」

そして、彼女がチェック始めた項目は、

・自分で歩けるか、座れるか、横になれるか、起き上がれるか、一人で食べられるか・・・

全部出来ます。
体の機能には問題はないのです。
体は充分動きます。走ることだってできるでしょう。

ただ、体を動かすための脳が上手く働かない・・・
そのためにいろいろな困難が生じているのです。

とても器用にお箸を使うことが出来ます。
でも、ヨーグルトをお箸で食べようとします。
お箸を一度置くと、何処に置いたかわからなくなって、食べるのを辞めてしまいます。

階段を登ることも降りることもできます。
4階まで一気に駆け上がることも。
でもその先に何があるのか、自分の家なのか、他所の家なのか、わかりません。
階段を見て、今自分は降りるべきなのか、登るべきなのか判断できません。

ひとりで起き上がることも横になることもできます。
でもベッドのどちらが頭の位置になるのかはわかりません。
どこに腰をおろしてから横になればいいのか、わかりません。
横たわる位置を示してあげないとベッドにクロスして寝てしまい、からだ半分だけベッドの上ということにもなります。

この20cm足らずの落下防止用のベッドの柵、これをどう越えて、どう体を横たえたらよいのか、わからないと思います。
助けがなかったら、床に寝てしまうかもしれません。


ふだん、この職員さんたちが接しているお年寄りと若年期の認知症はいささか違うということをできるだけ具体的に伝えた。
夫がこれから過ごす4日間、適切なサポートを受けられるように。


職員さん、看護婦さんと話している間、夫は横に座り「津軽海峡冬景色」を口ずさんでいた。

「もし、~○×△~ の時はこうして下さい、ねっ、パパ。」

職員さんと話しながら時々私が求める相槌にわからないながらも肯く夫を見て、職員さんも、だいたいの様子を理解してくれたようだった。

インタビューが終わると若い職員さんが夫をリビングへ誘ってくれた。
若いお嬢さんに手を引かれ夫は二人のおじいさんが座っているテーブルへ導かれた。
おじいさんのひとりが、「よろしく。」と言ってくださるのが聞こえた。

夫が何と答えたのかはわからなかった。
夫の丸い背中だけが見えた。

「背中・・、こんなに丸かったっけ・・・。」

思ったとたん、涙がでそうになった。

heart 0033


「では、こちらへ、」

こころの準備のないまま、さきほどの職員さんにうながされて階下に降り、気づいたらもう建物の外に居た。



デイサービス・ショートステイ | コメント(0) | トラックバック(0)
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