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しもべの朝

2010/02/22 Mon 12:28

しもべの朝は6時に始まる。
朝6時に起きて、夫がデイサービスの車に乗る9時まで、私はご主人様に仕えるしもべになる。
6時前、夫はすでに起きて家の中をうろうろ歩き回っていたりするけれど、特に私を起こしに来たりすることはない。
彼はしもべの営業時間を知っているのだ。(んな訳ない。)


この3時間、しもべはひたすらご主人様の顔色を窺い、ご機嫌を損ねないように精一杯努める。何事もなくデイの車に乗っていただかなければ、しもべは一日中ご主人様に仕えなくてはならない。(そんなのごめんだ)

6時にしもべの携帯アラームは鳴るけれど、たいてい時を同じくしてご主人様の<トイレアピール>がある。
お布団の中でもう少しぬくぬくしていたいけれど、惨劇を招くわけに行かないので、「えいやっ!」と飛び起きる。

運が良ければ、スムーズにトイレにお連れして座っていただくことができる。でもちょっとご機嫌斜めだと手を振り払われたり、まだ用意が整わないうちに座ってしまわれたり、なかなか難しい。

最近はご主人様が小用を足される時に前を押さえてくださらないので、床や衣服が濡れることもある。しもべの役割はどこまでなのか、そんなプライベイトな場所までしもべが手を出してよいものか・・・悩ましい。

次はパジャマの着替えなのだが、近頃のご主人様はいつもお出かけ用の洋服を着ておられるので、しもべの仕事がひとつ減っている。
夜、ご主人様はパジャマへの着替えを拒否なさるので、「服のまま寝たって、死にゃあしない。」とそのままお休みいただいている。

そして、朝ごはん。
ご主人様はパン食だ。
お茶もトーストも卵も同時に熱く召し上がっていただけるようにしもべは気を使ってお出しするのだが、ご主人様の「食べる」スイッチが近頃はなかなか入らずに、朝食が冷たくなってしまうこともしばしば。でもお心の広いご主人様さまはスイッチさえ入れば、冷たくなっても気になさらず、召し上がってくださる。ありがたい。

朝食の後はお薬。
これがまた難しい。
お水で一気に錠剤を飲むことができないご主人様のためにヨーグルトに入れる粉のお薬や、溶けるチュアブルの錠剤など、主治医もいろいろ工夫して出しては下さっている。
でも気まぐれなご主人様は最近ヨーグルトに飽きられたようで、半分近くを残してしまわれる。
しかたなくしもべご主人様のお口に錠剤を放り込む。
ご主人様はガリガリと文字通り苦虫を噛み潰したようなお顔でお薬を味わいながら召し上がる。

無事にお薬が終われば今度は蒸しタオルを作ってご主人様のお顔に乗せる。
この蒸しタオルの温度が難しい。もちろん熱くては絶対ダメだし、ぬるくてもご機嫌を損ねる。
お顔を拭いた後はお髭を剃らせていただく。

前はしもべが動かす電機かみそりとともにお顔の表情を動かして、きれいに剃れるよう手伝って下さったのだが、近頃は無表情。時には手で払われるので、そんな時はしばらく時間をおいてもう一度トライする。
時々、お髭を剃らずにお出かけしてしまうのは、ただ、ただ、しもべが至らないからである。

そして歯磨き。
こればかりはリビングのテーブルでは出来ないので、ご主人様には洗面所までご足労いただく。
まず、ぬるま湯のコップを渡し、ぶくぶくしていただく。
時々ご主人様はぶくぶくしないで、そのまま飲んでしまわれるので、その時はもう一度、ぶくぶくをお願いする。

次にタオルをご主人様の顎に当てて、お口の中に歯ブラシを突っ込み磨かせていただく。
ご主人様しもべより20cmはお背が高いので、しもべは背伸びをしながら、ご主人様のお口の中を覗く。
優しく優しく歯ブラシを動かさないと、お口が閉じてしまうので、気をつける。
最後にもう一度、ぶくぶくをお願いして、ちょっと疲れたしもべはいったん退却するのが常だった。しかし!!最近ご主人様がぶくぶくの後、洗濯機の中にぺっとなさるのを目撃してからは、どんなに疲れても、最後までお側を離れないようになった。

朝6時から始まったしもべの時間はだいたいこの辺りで8時になっている。後1時間。
ここが最大の難関だ。

音楽をおかけしてご主人様が歌い出せば占めたもの。でも時にご主人様しもべがお傍を離れると、「あそこが痛い、ここが痛い」と訴えられる。近頃は「背中」とおっしゃることが多いのだが、まあ、痛い場所は一箇所に限らない。時には前方空間だったりする。
しもべご主人様の痛いところをひたすらおさすり申し上げる。

しもべもだんだん疲れて来て、「いい加減にせぇよぉ~」と思うのだが、最後の30分が肝心。じっとこらえて、ご主人様のお好きな曲を探して、一緒に歌わせていただく。
近頃は便利で懐メロカラオケなんていうものをすぐさまインターネットでみつけることができる。
「くちなしの花」、「夜霧よ今夜もありがとう」「北国の春」、
今のご主人様のお気に入りはこの辺り。
何度リピートしても歌っていただけるのがありがたい。

ご主人様は寒いとお外にお出にならないので、出発5分前くらいには歌いながらジャケットをお召しいただく。

5回くらいリピートした頃、お迎えが到着する。
そして歌いながら玄関に到着できれば、ほぼしもべの仕事も終わり。
後はお靴を履いていただいて、デイサービスの職員さんにお願いする。

こうして私は夕方4時まで束の間の自由を得るのだ。



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