ルビーの指輪

2010/02/12 Fri 10:33

久しぶりに実家へ母を看に行った。
実家の母は夫と同じ頃に認知症を発症、そろそろ80歳になる。
現在84歳の父と二人暮らし。まさしく老々介護だ。

最近リハビリパンツが必要になった母を父は良く看ている。

そんな父は『もう立派な一級介護師だよ。(^^)』と豪語している。

父の頑張りのおかげで私は今、自分の家族4人の暮らしを維持していける。後どれだけこの状態を続けられるのか・・・先は厳しい。


前回からほぼひと月以上時間が空いてしまったので、母の爪がさぞかし伸びているだろうと母の手を取ると、母は私のルビーの指輪をつけていた。

その昔、「15歳になったらルビーの指輪を買ってあげる」とずっと言っていた母。
そしてその言葉通り、母が、香港へ旅行した時に買って来てくれた指輪、私よりも母に取って思い入れの強い指輪かもしれない。

もちろん、結婚する時持って出たのだけれど、夫が病気になり引越しを余儀なくされた時に他の貴金属(と言ってもたいしたものはないのだけれど)と一緒に実家に預けたのだった。
一緒に預けた箪笥の中に宝石箱ごと入れておいたはず。
その中から母はルビーの指輪を選んだ。

母は私より指輪のサイズがふたつくらい上だった。
よく入ったものだ、と言うより、抜けなくなってしまったのかも。
いずれにしても、母のまあるい手に小さな立て詰めの赤いルビーはかわいく似合っていた。

爪を切っていると父が、

『出かける時は必ず手を繋ぐから、伸びた爪が痛いんだよ。指輪も凶器になるし。』と言った。

私に手を預けて、『きょーき?なあにそれ?』と母は笑った。
『nobi ちゃんはほんとうに爪切りが上手。』と褒めるのも忘れない。

もともと明るかった母だけれど、認知症になってから以前にも増して笑うようになった。
父と私が額を寄せて心配事を話していても、隣で母は、

『大丈夫よ。なんにも心配しないでも。ちゃんと上手くいくから。』とタイムリーなところでコメントしてくれる。

そして、今日もほんとうに良くコロコロと笑った。
昼食の澄まし汁を飲んで、最後にわかめが一切れ残ったと笑う。
デザートのりんごの形がかわいいと言って笑う。
ストーブが暖かくても、笑える。水道の蛇口から水が流れても笑う。

『箸が転げてもおかしい年頃』らしい。
赤いルビーが良く似合うはずだ。

夕方、『お雛様の頃にまた来るからね。』と言うと、母の顔がちょっと曇った。

・・・また、すぐ・・・必ず行くからね。


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