笑顔・・だけど、

2011/03/23 Wed 16:51

「ズボン穿きましょう。」
立っている夫の足元にズボンを広げて膝まづく。

「はい。」と答える夫に動きはない。

「こっちの足、上げてください。」
かかとをちょんちょんと叩くけれど無反応なので、つま先の下にズボンの端をすべりこませる。
 
夫の足にギュっと力がはいってズボンは踏みつけられる。動かせない。

「じゃ、こっちの足からにしましょ。」
反対の足をとんとんと叩いてやり直すも不成功。

何度か繰り返していると、いつもなら夫の眉間に皺が寄ってくる。
夫は私を困らせようとしている訳ではない。
それどころか一緒に事を成そうとしているのにどうしたらよいか分からず、混乱する。
機嫌が悪くなる。眉間に皺が寄る。
これがいつものパターン。

ところが今日は夫の足元で、なかなか足先を捕らえることができずに、

「じゃ、今度はこっちの足からにしてみる?」と眉間の皺を覚悟で見上げた。

と、予想に反してそこには夫の笑顔があった。

「はい。」

私も笑顔で、

「困ったね~、ズボン穿けないね~。どうしよう。」

「大丈夫。上手だよ。」

「わかった、じゃ、もう一度ね。」

それから夫が服装を整えるまで、しばらく時間がかかった。
でも終始笑顔。

夫に何が起こっているのか、起こったのかわからない。
でも、眉間の皺はどこかへ行ってしまった。

デイサービスでも、「おはよう」と笑顔で入って行ったという。
毎日伝えられる悲しいニュースに夫は心の「つらい事・感知センサー」を止めてしまったのかもしれない。



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