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プチ脱走

2009/12/29 Tue 08:53

朝起きた時はいつもと変わらなかったのだが、朝食後、髭を剃る辺りから表情が曇ってきた。
夫はもう自分で髭を剃ることはできない。
電気かみそりを夫の頬や顎に当てて私が剃っている。
調子の良い時はきれいに剃れるように表情を動かして手伝ってくれる。
でも今朝は表情はおろか、顔も一点を見たままで動かしてはくれなかった。

起き抜けにトイレには行ったので、お出かけオシッコはしなくてもデイまでは持つはずだけれど、一応声をかけてみる。
トイレまでは来たものの、手を振り払われ断念。

デイサービスのお迎えが着いて電話が鳴る。
『おはようございま~す、はい、すぐ降りま~す。』
できるだけ明るくいつものように応える。

いつもなら、この時間の電話に反応して立ち上がるのだけれど動かない・・・・。

コートも、拒否。

やばい・やばい・やばい・・・・・

なんとか玄関まで手を引いて連れて行き、靴を目の前に並べる。
足をいつものようにちょんと叩くと足が上がったので、すかさず靴で受け止め、その靴を玄関のたたきに下ろす。

  片足ゲット!

するともう一方の足はスムーズに動き自分で履くことが出来た。
勢いに乗って玄関を出る。

『寒い!!』  だってコート着ないんだもん。

今度は素直にコートを着て、

階段を、

ちゃっちゃっと降りたい!!

けど、トロトロと降りてお迎えの車までやっとたどり着いた。

いつものように職員さんが、車のドアを開けて、

『おはようございます。』


一瞬フリーズして、返事もせず夫はすたすたと歩き始めた・・・・。

職員さんと顔を見合わせ、

『どうしたんでしょう?』

『わからないけれど、突然機嫌が悪くなって・・・。』

こんな時は何を言っても無駄、しばらく歩かせるしかない。
職員さんと手短に相談して、ここは一旦他の利用者さんを迎えに行ってもらい、また後でもう一度来てもらうことにした。

夫はただ、ひたすら真っ直ぐ歩いていく。
5mくらい後ろをついて歩くけれど、後ろは一切振り返らない。

500m程歩いて行き止まりに来た。
右に踏み切りを渡るか、左に曲がるか・・。

夫が踏み切りに足を踏み入れた途端に踏み切りの警報機が鳴り出したのであわてて夫に追いつき腕を取って回れ右。
取った腕を振り払われなかったので、そのまま一緒に歩いた。

もう、後は子供をあやす時と同じ。

公園を通り、
『見て!!ほら大きなわんちゃん。』

橋にさしかかって、川の中を覗き、
『お魚見て。いっぱい。』

昔、あ~だったねぇ~、とか、こうだったねぇ~。
今度、こうしようね~
ずっと話しかけるけれど、返事はない。
前を向いたまま、ただ歩いて行く。

こんな時は奥の手がある。
それは、歌。

♪もぉ~い~くつね~るとぉ~お正月~♪

私が歌いだすと夫も一緒に歌いだした。
一曲終わったところで、次は何にしようかなと思っているところへ、また夫が同じメロディーを口ずさみ始めた。
そう、別に違う曲にする必要はない。同じでぜんぜんかまわないのだ。

1キロほどぐるっと回って家の前まで戻ってきた。
なんとか家に戻りたい。

丁度、エントランスのドアが開いていて歩みを止めることなく、歌も途切れることなく建物の中に入ることができた。階段は避けて、エレベーターに乗り、やっと我が家の玄関に!!

が、しかし、夫はドアを開けたところで立ち止まり、動こうとしない。

ここが勝負!!
無理やり力ずくでドアの中に押し込んで鍵をかけ、やれやれ。
私より20cmは背が高く20kg以上重い夫をよく動かせたもんだと自画自賛。

どうせ言っても靴を脱がないだろうから、夫を玄関に置き去りにして私は朝の家事を片付けることにした。
幸い、冬休みの娘が居るので夫の懐柔作戦を引き受けてくれるだろう。

私の期待通り、娘はちょこちょこと玄関の夫のところへお菓子を持って行ったり、ハムスターを連れて行ったり、お茶まで飲ませてくれり、夫を和ませてくれたようだ。

そうこうしているうちにデイサービスから電話がかかってきた。
デイでも今度は誰が向かえに行くか、作戦をいろいろ練ってくれていたようで、今回は夫と同じ年頃の男性の職員さんが、家の玄関まで迎えに行くのはどうだろうか、ということだった。

今日は娘も居るし、デイに行けなければそれでもかまわないと思っていたけれど、せっかくいろいろ考えてもらったので、その作戦でお願いすることにした。

私を見てさっきの腹立ちが戻ってはいけないので、後は娘に任せることにして、今夫が一番気に入っている沖縄ベストセレクションのCDを玄関まで届くように大音量で流し、お迎えが到着するのを待った。

しばらくしてお迎えが到着、玄関が開く音がして職員さんの声、間もなくドアが閉まった。
娘によれば、夫は何事もなかったようにぜんぜん笑顔で車の助手席に乗り、娘に手を振って出かけたそうだ。


夕方、夫は笑顔で帰ってきた。
車の中から私を見つけて手を振った。
車から降りて、寒いとおどけて走るマネをした。

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そして今朝。
今年最後のデイサービス。
何故か朝から夫は上機嫌。
娘の獣足のあったかスリッパを両手にはめて手拍子を打ち、

『これはいいねぇ~。素敵だねぇ~♪』
ashi.jpg

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