断捨離

2012/08/23 Thu 18:05

夫はショートステイに行っている。

先月からほぼ一週間ショートステイ、一週間在宅でデイサービス、という暮らしになっている。
夫が在宅の時は夫に専念、夫がショートステイで不在の時は実家へ行って母を看るのが基本。
それでもだいぶ自分の時間が出来た。
体も気持ちも楽になった。

  はず・・・。

診断から8年、たまりにたまった生活の澱、
私自身の断捨離を始める時、

  のはず・・・。

しかし、私の断捨離の前に立ちはだかる夫のわけわかんないもの、もの、もの。
もう使わないだろうと思われるものはすこしずつ処分して来た。
そして残ったのが大量のLPレコードとコンピューターや周辺機器、光ディスク、本。

診断直後、まだ分かるうちにせめてPC関係のものを整理処分して欲しいと喉まで出掛かったけれど、大量の機器、機械たちは夫の老後の楽しみであることを知っている私には言えなかった。

夫の本も山のようにある。
夫は本を大切にした。
丁寧に扱い、折り傷など決してつけなかった。
私が読みかけのページを開けたまま伏せて置いたりしていると栞を挟んで置き直してくれた。
夫がどんな本を読んでいたのか、子供たちにも知って欲しい。
今、彼らにはその気がないのはわかっているけれど、いつか・・。

いつだったか、夫に「もう、レコードは処分しませんか?プレイヤーも回らなくなったことだし。」
と言ったら、
「だって、一生懸命集めたんだよ。」と返事が返って来た。
それは私の問いかけをきちんと理解したしごくまともな返事だった。
当時の夫の能力を超えたまともな返事だった。
それ以上何も言えなかった。

夫が大切に集めたもの、目の前に夫が居るのに捨てられない。
元気だったら、夫が元気だったら捨てられるものが捨てられない。

そんな類の決別できないものがたくさんまだ残っている。
でもそろそろなんとかしなくちゃ。

この秋のガラスのイベントが終わったら、
  と、また先延ばしにして夏休みが終わって行く・・・。

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車の運転が危ない

2012/07/18 Wed 10:33

機械の操作と言えば、車の運転もあやしかった。

ある時、見通しの良い広い交差点を右折。
まだ対向車が豆粒くらい遠くに見え、充分余裕があるのに夫は車がきしむほどの音を立てて右折した。
急発進、急ターン、夫の運転は乗っていた家族を驚かせた。

次、左折の時、左側の横断歩道を渡っていた歩行者に接触しかけた。
もちろん歩行者が優先である。
夫は歩行者をやり過ごしてから左折しなければならない。
急ブレーキを踏んだ夫は、自分の信号が青なのだから歩行者が間違っていると言い張った。

帰り道、ガソリン補給に立ち寄ったステーションは当時流行り始めた無人スタンドだった。
車から降りた夫は機械の操作に戸惑いなかなか戻って来なかった。
結局私も降り、一緒に説明を読みながら給油を終えた。

家族の会に行くと、認知症の当事者が自分の能力の衰えを認めず車の運転をするので困る、という話を聞く。
幸い夫の場合、診断前の1年はほとんど運転をすることはなかった。
私と一緒に出かける時は私がハンドルを握った。
彼が運転したのはひとりで彼の用事で出かける時だけになっていた。

そう言えば。ガードレールに車の後ろをぶつけて帰って来たこともあった。
車を傷つけるなんて結婚以来初めてのことだった。
対向車とすれ違う時に左に寄り過ぎて後部をこすったと夫は説明した。
確かにそこは狭い通りだったけれど・・・でも・・・。
ヘッドライトの消し忘れも何度かあった。

今から思うと「おかしなこと」がぞろぞろ出てくる。
毎日こうだったらもっと早く気づいたのだろうけれど、こんなことが、2ヶ月か3ヶ月に一度、ぽつ、ぽつっと起こる。
普段は今までと変わらない。

50代半ばの自分の夫がアルツハイマーだなんて、誰も思わない。

夫が車を最後に運転したのは2004年の夏だった。
娘を夏期講習に送って行った。
診断3ヶ月前のことだった。

  きゃぁ~無事でよかったぁ!






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若年性アルツハイマーのブログ、ツイッターを書いていると、
家族が、友人が、自分がこの病気ではないかと不安を持った方からのコメントやメールをいただくことがある。
特に今年になってから増えているように思う。

~ こうこう、こんな状態なのだけれど
          若年性アルツハイマーだろうか・・・ ~

私の夫の症状はよぉ~く知っているけれど、これが典型的なものなのか、夫固有のものなのか私にはわからない。
たいていは匿名のお尋ねなので個々にお返事することはできない。
お返事可能な時には夫の場合をお話して、心配だったら専門医に相談するのがいいのでは?とお返事する。

何度も書いたけれど、夫の様子がなんだかおかしいと思い始めた頃、私は若年性認知症という病気があるのを知らなかった。ある日夫の物忘れがまるでTVドラマのアルツハイマーみたいだと思い、「アルツハイマー 若年性」と検索した結果、あまりにもたくさんの記事が上がってきて驚愕した。
それでもまだ、夫が若年性アルツハイマーだとは思えず、受診までにはしばらくかかった。

病院へ行くと必ず聞かれる。
どんな症状ですか?
それはいつ頃からですか?

一番最初に私があれ?っと思ったこと、何だったろうか。

夫が大好きだったPC、周辺機器、オーディオ機器が使えなくなったことからだったと思う。

たぶんあれは診断の下りる丁度2年位前のこと。
友人のPCの不調を直しに行った時だった。
夫は趣味がコンピュータだったので、当時は友人たちのPCをサポートしていた。
夫から私に電話があり、メールの設定方法を聞かれた。
答えがあまりにシンプル過ぎて最初何を求められているのかわからなかった。
帰って来てから夫は単純な勘違いだったと言った。

そして、またある日、夫が新しく買ったDVDの操作ができないことがわかった。
 サッカーはリアルタイムで見なくちゃ。
 DVDに録ったって見る時間なんてないし。

新しい携帯電話、メールの設定ができずに娘にしてもらった。
 こんなちまちまと小さなボタン操作したくないよ。
 メールならPCで充分。
 電話は話せればいいんだ。


そうかもしれない、
けど、夫はコンピューターの達人だった。
マッキントッシュおたくで、ウィンドウズは夫の自作マシン。
当時すでに我が家のPCと周辺機器は無線で繋がっていた。
オーディオ機器、テレビ、電話、電子ピアノ、PCと繋げて楽しんでいた。
機械、機器を操作することが大好きだったはず。

確かにDVDの予約が出来なくても、携帯メールが送れなくてもどってことない。
だけど、何故あの時この小さな「おかしさ」をもう少し追及しなかったんだろう。

「うちのだんなにメールすると、ぽちぽち打つの面倒って、電話で返って来るの。」

「きゃ、うちも、うちも。」
「うちは、携帯持つのすら拒否してる。」

なんて友人たちと会話をしたのを覚えている。
10年前だ。

そう、夫のアルツハイマーは機械の操作ができなくなるところから始まった。


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家族の会のアンケートに、

最初におかしいと気付いたのはどんなこと?
(もし、本人が気付いていた場合は、本人と家族の両方)

とあった。
最初に気づいたのはいつ、どんなことだっただろう。

診断を受けたのは、2004年10月。
これははっきりしている。
でも、発病したのはいったい、いつだったのだろうか・・・。

初めて受信した頃のことは前に書いた。
加齢による物忘れとははっきり違う夫の行動、これは絶対におかしい、夫に何かが起こっている、と確信して病院へ駆け込んだ。

 y001021_20110309091755.gif 『初めて病院へ行く』

診断を受ける前、夫は自分の病気に気づいていたのだろうか。
初めて病院へ行った時、医師の
『最近、物忘れが多いと奥様がおっしゃっていますが、ご本人もそう思われますか?』
という問いに夫は、

『いいえ、ただ、最近職場を変わったのでそのストレスで言葉が出にくくなっているように思います。』と答えた。

『そうか、そんな風に感じているのか』とそれを聞いて思ったのを覚えている。

今から思うと夫が自分の変調に気づいたのは診断の2年くらい前だったのではないかと思う。
ある日、コンピューターを開いた時に、ブックマークの最後に数件の病院の名前があるのをみつけた。
『??どこか具合が悪いのかしら??』
夫が側に居ればすぐに尋ねただろうけれど、仕事に行っていたので、そのままになってしまった。
しばらくして、ブックマークを開くと、病院の名前は消えていた。

私から見た夫に変化はなかったし、この事は夫に聞き質さないままいつか忘れてしまった。

そしてそれから一年程経った頃、夫は突然煙草を辞めた。
夫は結婚前から煙草を吸っていた。
私は、何度も『3人に二人は癌になる。』と禁煙を迫ったけれど、
『3人に一人はならない。』と嘯いていた。

その夫がある日気づくと煙草を辞めていた。

『あれ??パパ今日、ぜんぜん煙草、吸ってないでしょ。どうしたの?』

休日の午後、私は夫に尋ねた。

『辞めたんだよ。気づかなかった?もう2週間くらいになるよ。』

『え~?!?!すごい!! どうして?? えらい!!』

特に理由はないけれど、おいしく感じなくなったからと夫は言った。

今から思うとこれも自分の体に何かを感じたからだったのだと思う。
そのすぐ後の定期健診で、夫は脳ドッグを自分で希望して受けた。
脳ドッグでは何の異常もみつからなかった。

この頃、もし、私が夫の変調に気づいていたら、もっと早く病院へ連れていくことができのだろうか・・。

私は、
 
夫が自分の不調を感じていたのに、私は気づかずのんきに時を過ごしてしまった。



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