最強のコンビ・Ⅱ
2009/10/25 Sun 09:44
夫と私をみつけて母のおしゃべりは途切れなかったけれど、「お出かけおしっこ」を中途半端に残してきたので、まずは夫とトイレへ。
素直についてきた夫に、いつものように
「座りますか? それとも立ちますか?」
「座ろうかな」
「はい、それじゃ、ぐるっと回ってください。」
とズボンに手をかけると、
「いいよ。」
と手を振り払われた。
しかも夫の手はしっかりズボンを押さえている。
久しぶりに母に会って、夫の中の何かのスイッチが押されたらしい。
もしかしたら、と、
「じゃあ、こっちでしてみますか?」
と男性用の小便器へとうながすと、
「うん。」
と前に立ち、ちょっと手伝ったけれど、立ってスムースに用を済ますことができた。
やれやれ。
次の仕事は母をお風呂に入れること。
夫のために音楽をかけ、母とお風呂に。
すぐ、「じゃあ、私はこれで。」
と出て行こうとする母を
「まあまあそう言わず」と捕まえて念入りに洗う。
30分後、母に服を着せ、待っていてくれた夫を今度はお風呂に。
夫は毎日デイサービスでお風呂に入れてもらっているので、湯船に浸かるだけでいいことにして、ひとりで入ってもらう。
夫は鼻唄を歌いながらゆっくり広くて明るいお風呂を楽しんだ。
その間に洗濯機を回し母の爪を切る。
毎度のことだけれど、私は世界で一番爪きりが上手と褒められる。
そうこうしているうちに昼になった。
本当はお握りでも作ってどこかお外で食べようと思っていたのだけれど、お腹が空いてしまったので、家にあるもので済ますことにした。
そこで思い出した、母の入れ歯。
何度か入れ歯行方不明事件を起こしているので、母の入れ歯は父が管理している。
昼食の前に母の入れ歯を出して来なくては。
「はい、おばあちゃま、入れ歯どうぞ。」と渡すと、
「え~!?これなあに??」
「え~!?おばあちゃまの入れ歯でしょ?」
母は入れ歯を受け取ったものの、どう入れたものか困っている。
私もよくわからないけれど、形からみて、こうかなと向きを合わせて母の口に入れようとするが、母は
「大丈夫??これ・・??」と不安がって口を開けようとしない。
そこへ颯爽と現れたのが、我が夫。
「大丈夫ですよ。大丈夫。」
自信たっぷりに言う。
え~??!!、今私たちが何をしているかもわかってないと思うけれど・・・・
ところが夫の言葉に
「あら、そう?」
と母は口を開いて入れ歯はすっぽりと納まった。
そう、今日は私がいつも暮しているのとはちょっと違った基準で回る世界に来ているのだ。
今日の主役は母と夫。
母は新聞の広告を並べて何やら夫に説明を始めた。
脈絡はない。私にはさっぱりわからないが、夫は笑顔で頷きながら聞いている。自信たっぷりにうなずく夫を見ていると、話について行けない私がおかしいのかもと思ってしまう。
「これがね、ここのところで、~~~~・・・、えっとなんだったかしら、この頃忘れっぽくって。」
「大丈夫、それでいいんですよ。」
「まあ、そうなの? やっぱりね、そうだと思ってたわ。それでね、これが、ここのところで、~~~~・・・、・・・」
「そうですね。だいたいそうなります。」
最強のコンビの会話はなごやかに続いていく。
素直についてきた夫に、いつものように
「座りますか? それとも立ちますか?」
「座ろうかな」
「はい、それじゃ、ぐるっと回ってください。」
とズボンに手をかけると、
「いいよ。」
と手を振り払われた。
しかも夫の手はしっかりズボンを押さえている。
久しぶりに母に会って、夫の中の何かのスイッチが押されたらしい。
もしかしたら、と、
「じゃあ、こっちでしてみますか?」
と男性用の小便器へとうながすと、
「うん。」
と前に立ち、ちょっと手伝ったけれど、立ってスムースに用を済ますことができた。
やれやれ。
次の仕事は母をお風呂に入れること。
夫のために音楽をかけ、母とお風呂に。
すぐ、「じゃあ、私はこれで。」
と出て行こうとする母を
「まあまあそう言わず」と捕まえて念入りに洗う。
30分後、母に服を着せ、待っていてくれた夫を今度はお風呂に。
夫は毎日デイサービスでお風呂に入れてもらっているので、湯船に浸かるだけでいいことにして、ひとりで入ってもらう。
夫は鼻唄を歌いながらゆっくり広くて明るいお風呂を楽しんだ。
その間に洗濯機を回し母の爪を切る。
毎度のことだけれど、私は世界で一番爪きりが上手と褒められる。
そうこうしているうちに昼になった。
本当はお握りでも作ってどこかお外で食べようと思っていたのだけれど、お腹が空いてしまったので、家にあるもので済ますことにした。
そこで思い出した、母の入れ歯。
何度か入れ歯行方不明事件を起こしているので、母の入れ歯は父が管理している。
昼食の前に母の入れ歯を出して来なくては。
「はい、おばあちゃま、入れ歯どうぞ。」と渡すと、
「え~!?これなあに??」
「え~!?おばあちゃまの入れ歯でしょ?」
母は入れ歯を受け取ったものの、どう入れたものか困っている。
私もよくわからないけれど、形からみて、こうかなと向きを合わせて母の口に入れようとするが、母は
「大丈夫??これ・・??」と不安がって口を開けようとしない。
そこへ颯爽と現れたのが、我が夫。
「大丈夫ですよ。大丈夫。」
自信たっぷりに言う。
え~??!!、今私たちが何をしているかもわかってないと思うけれど・・・・
ところが夫の言葉に
「あら、そう?」
と母は口を開いて入れ歯はすっぽりと納まった。
そう、今日は私がいつも暮しているのとはちょっと違った基準で回る世界に来ているのだ。
今日の主役は母と夫。
母は新聞の広告を並べて何やら夫に説明を始めた。
脈絡はない。私にはさっぱりわからないが、夫は笑顔で頷きながら聞いている。自信たっぷりにうなずく夫を見ていると、話について行けない私がおかしいのかもと思ってしまう。
「これがね、ここのところで、~~~~・・・、えっとなんだったかしら、この頃忘れっぽくって。」
「大丈夫、それでいいんですよ。」
「まあ、そうなの? やっぱりね、そうだと思ってたわ。それでね、これが、ここのところで、~~~~・・・、・・・」
「そうですね。だいたいそうなります。」
最強のコンビの会話はなごやかに続いていく。
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